ねこの口内炎のお話 2016年10月

こんにちは。
動物病院京都 獣医師の坂口です。

この所すっかりと暑くなってきましたね。

忙しさにかまけて自分自身が病院に行く機会をなかなか作れず、腰痛がひどくなったり、虫歯が進行してしまったりと不養生です。
ところで、口腔の問題は人間だけではなく、動物にも色々起こるのをご存知でしょうか?

今日はネコの口内炎のお話をしようと思います。

最近、食べ方が下手になってよくご飯を口からこぼす。口の周りをよくこすっている。

そんな変化起こっていませんか?

口を気にするという症状では、いくつかの原因が考えられますが、ネコさんということを考慮すると、口内炎が一番多いと日々の診療では感じています。

ネコさんの場合だとポチっとどころでなく、口の奥までひどく潰瘍ができていたり、炎症がきつくなってしまっていることもあります。

・口臭がキツくなる
・唾液に血がまじる
・口を頻繁に気にする
・口を痛そうにしてご飯が食べられずに痩せる

などの症状がでていると要注意です。

難治性歯肉口内炎と呼ばれるこの疾患は、ネコの数%にみられると言われています。

原因は口腔内の細菌、免疫低下を引き起こす猫エイズウイルスや猫白血病ウイルス、その他ウイルスの関与、また免疫反応の異常が関与すると言われていますが、まだはっきりとはわかっていません。

 

上記の画像は、左はいわゆるネコさんの口内炎、右は正常の口腔内写真です。

黄色矢印で示す部分には口腔の後部(口峡部)の粘膜に著しい炎症と肉芽様組織の増生が起きています。ここまでなると、食事が喉を通るときに、触れてしまって、ひりひりして口が痛くてまともにご飯を食べることも多く、できなくなります

治療としては、一般的に①内科的治療と②外科的治療が行われます。

①内科的治療
抗生物質、ステロイド剤や消炎鎮痛剤、インターフェロン

 

②外科的治療
抜歯(全臼歯or全顎歯抜歯)、歯石除去

内科的治療ですが、一時的に症状の改善が見られたとしても、完治することはなく、投薬をやめると再発することがほとんどです。最も効果的なのはステロイド剤ですが、使い続けるうちに効果が悪くなったり、副作用の問題が現れてきます。

完治を目指すには、外科的な治療が必要になります。通常は全臼歯抜歯を行って、数ヶ月経過を確認し、効果がない場合は全顎抜歯を行います。全臼歯抜歯の治癒率は60~70%、全顎抜歯では更に+10~20%と言われています。

自分の身で考えると、ご飯をおいしく食べられないのはすごく悲しいことですね。猫さんたちの口に出来ない口の訴えを見逃さないようにしてあげてくださいね。