ねこの肥大型心筋症 2017年2月

こんにちは。
京都市北区にある動物病院 京都 獣医師の坂口邦彦です。当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにあります。また、最近では、上京区に新たに、ねこ専門病院である、動物病院 京都 ねこの病院を開院いたしました。

2月も半ばを過ぎ、昼間の日差しはぽかぽかとしてきましたが、朝晩はまだまだ冷え込みますね。もう冬もそろそろ終わろうとしていますが、今年の冬は冷え込みも厳しかったせいか、例年より胃腸炎が重度になった子が多かった印象があります。
わんちゃんねこちゃんは体の不調を隠してしまい、症状に出づらいことも多いので、単純な胃腸障害に見えても、実は膵炎だったり、消化器型リンパ腫に代表される消化器の腫瘍に陥っていたりと、他の重篤な基礎疾患からの問題であることもあります。
自分自身が人間の病院へ健康診断へはなかなか行けていないですが、症状が見えない段階からの早期の健康診断は大事だなと改めて思います。人間ドックへいかねばと。

さて今日は猫の心臓の病気についてお話をします。猫で多い心臓病として、肥大型心筋症という病気があります。

この病気は、メインクーン・アメリカンショートヘア・ノルウェージャンフォレストキャット・ラグドール・ペルシャ・スコティッシュフォールド・在来短毛種で多いと言われていますが、どの品種でも発生する可能性はあります。中年期以降に発生が多いですが、3ヶ月齢~での発生も報告されており、品種・年齢・性別に関係なく発症する可能性がある病気です。

猫は心臓が悪くなっても症状になかなか出てこないため、飼い主さんが症状に気づく時にはかなり進行していることが多々あります。

・最近ぐたっとして元気がない、食欲も落ちてきた
・遊ぶけど、すぐに疲れる
・安静にしているのに、口をあけて呼吸している
・急に叫んだと思ったら、後肢が動かない

こんな症状が出ている場合は要注意です。特に開口呼吸や、後肢麻痺が出ている場合は緊急状態の可能性も考えられます。

心臓の内部は、左心房・左心室・右心房・右心室という4つの部屋にわかれています。 左心室から全身に血液が送られ、全身を巡った血液は右心房に戻ってきます。右心房から右心室を通って肺に血液は送られます。肺で酸素を受け取った血液は左心房へと流れてきます。そして左心房から左心室を通り、全身に血液が送られます。

肥大型心筋症では、心臓の筋肉が分厚くなってしまうせいで、左心室の内腔が狭くなり、血液がうまく流れず、肺から心臓へ血がきちんと戻れないという状態になります。
その結果、左心房で血液が溜まり、胸水や肺水腫なったり、血栓ができてしまったりします。胸水や肺水腫のせいで呼吸困難を起こしたり、心臓で出来た血栓が全身へ流れてしまい血管で詰まり、麻痺に陥ることがあります。全身へもうまく血液を巡らせることが出来ず、失神を引き起こすこともあります。

肥大型心筋症は、進行が初期の状態では明らかな症状が出ず、重症化して呼吸困難や血栓症になって気づかれることが多くあります。早期に発見するためには、以下の詳しい検査が必要になります。

・胸部レントゲン検査
心臓の拡大、胸水や肺水腫のチェック

・心臓の超音波検査
心筋の分厚さ、左心房拡大、左室での血液の逆流、血栓の有無をチェック

・血液検査
血液循環に影響を及ぼす異変、脱水、腎不全、電解質異常のチェック
内分泌異常のチェック、うっ血状態のチェック

・血圧測定
高血圧になっていないか

肥大型心筋症は、聴診で心雑音が出ないことも多く、定期的に詳しく確認していくことが重要になります。

心筋が肥大しているとわかった場合、根治させる方法は残念ながらありません。
肥大型心筋症の治療は、血管を拡張させたり、心臓の収縮力を高めることで血行動態を改善させて、胸水や肺水腫、血栓塞栓といった命に関わる状態に陥りづらくさせることで、生活の質を維持する事を目標にします。

特に症状がなくても、年に一回はレントゲン検査や心エコー検査でチェックすることをお勧めしています。わずかな変化に気づくことは難しいですが、少し気になるな、という感じでも早めの検診につれてきてあげてくださいね。